新国立劇場『斬られの仙太』観てきました(※詩吟あり)

2021.04.17

『斬られの仙太』とは

現在、新国立劇場で行われている舞台『斬られの仙太』を観てきました。

『斬られの仙太』とは、劇作家・三好十郎による、幕末から明治にかけての激動期を描いた超大作。初演は1934年。仲代達矢主演で映画化もされています。

“物語の舞台は江戸末期。常陸の国の農民・仙太郎は、あまりの凶作に年貢の減免と取立て猶予を申し出た兄へのひどい仕打ちに絶望し国を後にし、江戸で剣の使い手となる。故郷へ向かう道すがら、ひょんなことから水戸天狗党の絡む一大騒動へと巻き込まれていく……。

これまでも新国立劇場で数多くの話題作を生み出してきた上村聡史が演出を担い、総勢80名余に上る登場人物を、6週間に及んだオーディションを経た16名の俳優が演じます。”(公式HPより

詩吟のシーンあり

劇中で、水戸藩士・加多源次郎(役:小泉将臣さん)が詩吟を吟じるシーンがあります。

吟じられる詩は、杜甫の長詩「兵車行」の一部分です。

君聞かずや 漢家山東(かんかさんとう)の二百州(にひゃくしゅう)

千村万落(せんそんまんらく) 荊杞(けいき)を生ずるを

縦(たと)ひ健婦(けんぷ)の 鋤犂(じょれい)を把(と)る有るも

禾(か)は隴畝(ろうほ)に生じて 東西(とうざい)無し

意訳:君は聞いているだろう。漢の山東地方の二百州は、どこも荒れ果て茨(いばら)が茂っている。たとえ気丈な婦人が鋤(すき)や鍬(くわ)を取っても、稲は田畑のあぜ道に生え、東も西も分からないほどなのだ。

江戸末期の詩吟とは

この物語の背景となる江戸末期は、詩吟が大いに盛り上がる時代です。時事を憂い、自らを励ますために、悲憤慷慨の漢詩が吟じられました。

特に水戸藩士・藤田東湖の「文天祥正気の歌に和す」(南宋の文天祥という忠臣がうたった「正気の歌」に寄せて作ったもの)は、維新の志士がこぞって吟じ、尊王攘夷思想を広め、鼓舞したと言われています。

舞台の中の詩吟

劇全体の素晴らしい演出や演技、衣装や音楽の中で、普段の詩吟では観ることのできない、歴史上の詩吟を観たように感じました。

(ご縁があって、今回詩吟の指導をさせていただきました。役者さんの魅力的な声と言葉回しが快活なことはもとより、短い期間の中、本当に熱心に稽古され、膨大なセリフの上に見事に詩吟を仕上げておられ、心から感動しました)

本番を観るまではかなりドキドキでしたが、詩吟も含め、最高に面白い舞台作品でした。

公演情報

斬られの仙太
日時:2021年4月6日(火)〜4月25日(日)
会場:新国立劇場 小劇場
予定上演時間:4時間20分(休憩2回含む)
料金:A席7,700円 B席3,300円 Z席1,650円(税込)

詳細&チケット

斬られの仙太 | 新国立劇場 演劇

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