初心者から経験者まで〜「ナチュラル詩吟道場」のすすめ

2018.01.14

「ナチュラル詩吟道場」とは?

「ナチュラル詩吟道場」とは、2015年の1月から月1回ペースで開催しているグループワークです。

経験の有無を問わず、多い時は10名以上で、発声の基礎の基礎からはじめ、一つの詩を参加者全員で一斉に吟ずる、ということを行っています。

詩吟を知らない方にとって、詩吟とは「難しい古典の詩を伝統的なメロディで朗々と歌う」「ご年配の趣味」というイメージがあるかもしれません。

しかし、道場の参加者は老若男女。声は朗々というより大迫力。吟ずる詩は、その開催月で吟じたい詩、例えば、1月ならお正月、春夏秋冬、今話題になっている事象にからめた詩などを中心に行います。

「詩を知る楽しさ、声を出す楽しさ」をみんなで共有する。年齢や経験に関わらず、古き良きものを大切にしながら、「現代における詩吟の楽しみ方」の一つとして行っています。

開催の理由

気軽に詩吟が体験できるサロン作り

詩吟をやってみたいと思った人にとって、気軽に体験できる場が見つかりにくいのが現状です。また、普段声を出す機会が減ってしまった現代人にとって、いきなり大きな声を出すこと自体に苦戦してしまうこともあります。

この道場では、詩吟初めての人でも声が出しすいように、詩吟の基本であるところの呼吸法や発声法も、都度、行っていきます。

経験者でも、一人で練習していると行き詰まりを感じることがあると思います。そんな方のための気づきや交流の場にもなれば嬉しいです(終了後の飲み会も楽しみの一つとなっています)。

みんなで吟じる「合吟」が楽しい

道場では、複数人で同時に声を出す「合吟(みんなで一つの詩を歌う)」が中心です。合吟をやった人は、思わず「楽しい!」と叫んでしまいます。

ある参加者の方は、「言葉以前の体験ですね!」と言いました。まるで、犬の遠吠えに犬が反応して遠吠えを重ねるが如く、声の振動を身体で感じながら、言葉のいらないコミュニケーションの原体験に、生きる喜びのようなものを感じます。

合吟ではハーモニーを要しません。完全なユニゾンで男女は1オクターブで行います。ある人にとっては多少無理があったりすることになります。それでも、みんなで気を合わせるようにする過程に、1人で吟ずるだけでは生み出せないエネルギーが生まれます。

参加者の声

「声を出すことがとにかく気持ちいい」

「声を出すことの基礎に戻れる」

「周りの人につられて前より声が出るようになった」

「趣味が合う人が見つかった」

「今まで億劫に思っていた会社の人と会話が、できるようになった」

「詩吟で声を出すときや、道場終了後の飲み会でみんなと話すときの自分はいつもの自分ではないけれど、それも自分ということに気づいた」

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先日開催した「ナチュラル詩吟道場」では、後半に、男女に分かれて各々練習してから、それぞれ発表をし、その後、聞く側も感想を言う、ということを行いました。

男性の発表の際に、声のボリュームが半端なく(天井がイーンと反響して崩れ落ちてくるのではないかという程)、凄まじいことになっていました。

それを聞いていた女性陣にその感想を聞いてみると、「声に圧倒された」とか、「声にがしっとつかまれた」とか、声が届いている以上の、声が聞き手をつかむ程の威力が出た、ということに大変驚きました。

吟じた方の男性陣にそれぞれ感想を聞いてみると、「隣で吟じている人の声がもの凄く大きいので、なぜかいつもより声が出る気がした」とのこと。

みんなで一緒に吟じることで、自分以上のパワーが発揮され、しかもそれが聞く人に届く声となっていた……。

声につかまれるというか、つつまれる感じ。

詩吟の合吟で多少のズレはこの場では許容範囲です。お経や念仏を唱えるときに、音程がどうのとか、合わせようとかあまり考えないあの感じに似ています。

みんなが、各々の声でその言葉を唱えている。

それでも、なぜか調和がある。

調和とは、ハーモニーというもので、西洋音楽的にいうと、所謂美しくハモったりすることなのですが、念仏や詩吟では、それが全然なされていないのに、妙な調和がある。

そこに、アジア的な、というと単一ですが、もっと広大な、国などなかった時代の民族的な調和がある。

「ナチュラル詩吟道場」終了後、参加者のみなさんがどこかスッキリとして、なぜか新しい調和をみたような、お互いそんなによく知らないのにとっても仲良くなれたような、そんな感じがありました。

道場を経て改めて、詩吟がただ聴くだけものではなく、自ずから声を出す、ということに面白さがある、という思いを強くしました。

とにかくとっても楽しいし、素晴らしく得体の知れない体験ができる、という確信があります。

初めての方にもおすすめ

「みんな経験者ばかりで、ついて行けるかしら?」と不安に思う方もいらっしゃることと思います。ご安心ください。詩吟の中でも簡単なものを選び、毎回ゼロから、少しずつ吟じます。詩吟は1曲1分半程度です。これを細かく分けて、何度も何度もくり返し行います。経験者の方は、毎回基礎を積み重ねることができます。

複数人で同時に声を出すと、自分の声がほとんど聞こえませんので、思いっきり声を出すことができます(笑)。多少間違えても目立ちませんので、初めての方にもおすすめです。

何はともあれ、詩吟は声に出す歌であることには違いありません。みんなで歌えば楽しさは倍増します。ついでに、歴史や文学を知るきっかけにもなったり、声が通るようになったり、姿勢が良くなったりするので、一石何鳥にもなること請け合いです。

この機会にぜひ、詩吟を体験してみてください!!

(※大変申し訳ございませんが、現在、育児時短勤務中のため「ナチュラル詩吟道場」は休止中です)