詩吟を歌うコツとは?
「なかなか結果がでない」「違うと言われてばかり……」そこそこ続けてるのに伸び悩んでいませんか?もしかしたら、がんばりすぎて、大事なことを忘れているかもしれません。
私のスランプ
私は二十代の頃、毎日練習していても、一向に伸び悩む時期がありました。
息は全然続かないし、高い声は苦しくて出ないし、何度やっても全然だめ。だから練習していても、大会に出ても何一つ面白くない。
大会の前の日は、もう怖くて怖くて現実逃避のため、お酒をガブガブ飲んでしまう。もちろん結果は散々でした。
「このままでは、詩吟が嫌いになっちゃうかも……。」という強い不安に襲われていました。
詩の意味わかってる?
そんな時、文芸に強い音楽家の方に、衝撃の一言を投げかけられました。
「詩の意味わかって歌ってるの?」
(私)「詩の意味?はて、なんのこと?」
それまでの私は、詩の意味なんて1ミリも考えないで吟じていました。私にとってそれが普通でした。「節回しがかっこいいからいいでしょ」くらいに思っていたのです。
幼い頃はわからなくて仕方がないにしても、大人はそうはいきません。 そんな心のない歌を、誰が聞いてくれるというのでしょうか。
詩吟をプレゼントする
これをきっかけに、詩の意味をとにかく勉強しました。
と言っても、たいていの教本には詩の通釈が書いてあるので、まずはそこをちゃんと読むことから始めました。好きな詩や詩人については掘り下げて調べたりしました。
そうするとびっくりするくらい、詩吟が面白くなっていったのです。
大昔の別世界だと思っていた詩は、とても身近な世界を歌っていることに気付きました。送別会、結婚式、お正月、お花見……はたまた恋心などなど。詩吟にはその時々にふさわしい美しい詩がたくさんあります。
それから、ほとんど詩吟の舞台でしか吟じなかった私は変わりました。
仲のいい友人や大切な人の前で、その状況にふさわしい詩を、詩の内容を簡単に説明してから、心を込めて吟じるようにつとめました。
するとどうでしょう。
涙を流して喜んでくれたのです。
たまたま居合わせた知らない人までが、「感動した」と声をかけてくれます。
このとき、初めて心から「詩吟をやっていてよかった」 と思いました。
「生きててよかった」とすら思えました。
苦しくてつまらないとまで思っていた詩吟が、180度変わりました。楽しくて楽しくてたくさん練習してスランプを抜けました。
「この感動をわかち合いたいから、毎日学べるように教室を開いてしまおう。」ーーというわけで今に至ります。
吟じる喜びを感じよう
「詩の意味を知り、聞く人に寄り添い、詩吟を分かち合う」という楽しみ方がある、ということを、私はだいぶ大人になってから知りました。
でも実は、詩吟は昔からこういう形で親しまれていたのです。
ただ、もし自分の内に内にこもって苦しくなってしまった時は、もしかしたらがんばりすぎかもしれません。
そんな時は、詩の意味をじっくり味わったり、家族や友人にプレゼントしたりしてみてください。きっと、詩吟を吟じる喜びが再確認できるはずです。
そうして楽しんで吟じることで、結果的に、上達につながると思います。
関連記事
・詩吟が上手くなる練習方法〜耳コピ編
・詩吟がうまくなるには〜音程編
・詩吟がうまくなるには〜発声編
・詩吟がうまくなるには〜大声のすすめ編
関連リンク
・『詩吟女子~センター街の真ん中で名詩を吟じる(20曲収録CD付き!)』
・『大声のすすめ。~和の発声法で伝わる話し方』